8日夜から9日にかけての台風15号、本当にものすごい風雨に驚きましたね。
2日経った今も、まだ停電の続く地区があったり、近隣市でも浸水・倒木による被害などが続いている状況です。
八千代市では11日現在、停電はすべて復旧したようですが(TEPCO停電情報/http://teideninfo.tepco.co.jp/html/12000000000.htmlより参照)、近隣市の停電状況によって影響が出ている面もあるようです。

例えば、学校給食のご飯。
市内の小・中学校では、10日からご家庭で主食となるご飯かパンを持参する対応となっています。
「給食センターは八千代市内にあるのに、どうして?」と謎だったのですが…、実は炊飯だけは別で行っているそうなのです。
八千代市は地産地消の取り組みから、八千代市産のコシヒカリを給食に使用しているそうなのですが、これを委託炊飯しています。そのため、給食センターでおかずは作れても、炊飯加工センターがある佐倉市が停電している状態では届かないんですって!

八千代市内では大きく混乱している面が目に見えにくいので、そこまで被害を感じられない方も少なくないと思いますが、実際どうなっているのでしょうか?
特にこの時期、八千代では梨がピークを迎えていますので、気になる農業の面から少し取材してみました。

八千代市の梨の被害状況

梨の収穫量の被害はどれくらい?
今回は、防風ネットをかけていたかいないかで、かなり大きな被害差が出てしまいました。
梨農家さんは皆さん一様に防風ネットをお持ちなのか伺ったところ、例えば、麦丸地区は防風ネットをお持ちの方がほとんどだそうですが、風対策ではなく別の対策に重きを置いている地区などは、全体的にあまり使用されていなかったりなど、地区単位でも差が出てしまっているようです。
また、防風林に囲まれていて普通だったら防風ネットが不要なはずの畑も、今回の風は巻き上がるような強風で全く役に立たなかったとか。

八千代の梨直売所 Kさん
『毎年のように台風は経験してきていますが、今回の台風は通り道が違うのか、例年では経験したことのない吹き方だったんですよ。梨の棚が、下から巻き上がる風に一気に持ち上げられ、そのままドン!と落下する。だから防風ネットで上から抑えられていないと、梨の落下被害がひどくて。それ以外でも、梨園に立てている支柱が曲がる被害も結構出ていて、修理費がきついですよ。』

八千代市全体での被害状況というより、農家さんによってまちまちで、ほぼ影響を受けなかった農家さんもいれば、とても被害が大きかった農家さんもいて、ひどいケースでは半分程度ダメになってしまっている畑もあるようです。
ちなみに、豊水梨は台風前の時点ですでに8~9割の出荷を終えており、被害に遭った品種はかおりや秋月、新高など。9月は品種が多く出回る時期である一方、それぞれの収穫量が少ないため、影響が心配です。

八千代の梨直売所 Sさん
『今後はスレなどの傷が多い梨が出回ってしまいます。贈答品として扱える梨が少なくなってしまった一方で、キズはついているものの、ご家庭用として食していただける梨は沢山あります。直売所で袋詰めの梨を見かけたら、応援だと思ってご家庭用に買って頂けると有難いです!』
とのことでした。
なお、味には影響なく、例年どおりの美味しさだそうです。
私も今年はいつも以上に、直売所で袋売りの梨を買いに行こうと思います!

来年以降への影響は?
梨って、実が取れてからが大切で、木が太る時期なんですって。
収穫を終えて、残った葉を使って来年の花を咲かせるための栄養を木にたっぷり貯えます。しかし、今回の台風で、大切な葉がかなり落ちてしまっているんですって!
開花に影響が出ないか心配ですが…

八千代の梨直売所 Sさん
『今回も心配ですが、実は去年のほうが大変だったんですよ。去年の台風は塩害が酷くて、枯れてしまう木もありました。けれども、今回は、やはり潮風も吹いてきたものの、去年のように暴風だけではなく雨も降ってくれましたし、さらに10日の夜にもかなり雨が降ったので、塩害の心配はなくなって安心しています。』

今回の台風の影響は、農家さんによって差が出ているということが分かりました。
梨についても例年通りの直売所もあれば、今回の被害で注文を断っている直売所もあるようなので、贈答品をお買い求めの際は、事前にお問い合わせ頂いた方が安心です。
やちなびの「八千代市の梨園マップ」には、私が回った場所だけですが直売所の電話番号を載せているので、ご参考にご覧ください。
15waku-newmigi.nashi


八千代市の農作物の被害状況は?

ネットニュース(毎日新聞9/10)
食べごろの梨、台風が直撃 千葉の農家「子どもの梨狩りに残していたのに」
このニュースで、八千代市では稲の被害も出ていると見たので、その辺りも気になりまして道の駅やちよの農産物直売所クラフトさんに確認してみました。

稲は、風で倒れてしまっているので、収穫時に困ることはありますが、そこまで致命的な被害ではないようです。白菜やキャベツ、大根など、11月頃に収穫を迎える秋~冬野菜については、今まさに種まきの時期で、今回の台風でダメになってしまったところも、今からすぐ種まきをすれば間に合うため、秋野菜の高騰などにつながることは無さそうとのこと。
ただ、長ネギはかなり曲がってしまっているそうで…こちらも、味は問題ないけれど見た目がちょっと、という品が多く出回りそうですので、梨と同じく「買って応援!」が消費者に出来ることですね。

八千代市以外で大きな被害…

野菜などは収穫できないと、収益が上がらないという被害がありますが、農家さんにとって大きなダメージになるのは、ビニールハウスの倒壊など施設の破損だそうです。

道の駅直売所クラフト
『ハウスがつぶれると、元に戻すために余計な費用がかかりますので、農家にとって負担が大きいです。八千代市ではないですが、クラフトで多く仕入れている八街のトマトは出荷がかなり厳しくなっています。八街スイカも、今回の台風で全体の8割ものハウスが壊れてしまったそうなのです。後継者がいる農家さんならまだしも、今60~70歳代の農家さんは、ハウスを立て直す費用を考えてスイカづくりを辞めてしまう方もいるんじゃないかと心配しています。』

さらにクラフトさんが市場で聞いた話によると、船橋市の新高梨は、例年に比べて6割程度しか出荷できない状況であったり、「姉崎いちじく」で有名な市原市のいちじくは全滅だとか…。
クラフトさんで扱っている大吉ポーク(成田市)なども電気が止まって肉が届かないなど、目に見えないところで影響が出ているようで心配です。